サムヒア・ノーヒア人はどうして思うままに生きられないのだろう。
人はどうして理想的に生きてゆくことができないのだろう。
――人は、どうして、望むままに変われないのだろう。
天より並外れた絵を描く才能を与えられた少女、上木田零子。
だがその代償だとでもいうかのように、彼女は弱かった。
その身体が、ではない。心が、圧倒的に弱かった。
――弱すぎたのだ。
これはそんな彼女と幼馴染たる少年、沖澄栄一郎の、一夏の物語である。
強靭でポジティブなメンタルを持つ主人公と非常に心が弱かった彼女。
弱い代償だろうか、絵の才能は抜群でそれにのめり込んでいた。
腐れ縁から見続けていた主人公。その関係はある夏に破局を迎える。
切なくて悲しくて、しかし心の暖かさを描いた作品。
雰囲気は電撃文庫の半分の月が登る空に似ている。
全14話で完結。読み終わってに余韻にひたれるのはなろうでは希少。